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Let’sビハーラ
ビハーラ活動者養成研修会に参加して

京都教育大学教授 友久久雄

 過日、筆者は第11期ビハーラ活動者養成研修会に参加しました。今年度は、まだ第1回目と第2回目の基本学習会と第1回目の実習しか実施されていませんが、その内容および筆者の感じたことについて触れ、併せて多くの人びとに今後参加を促したいと思います。

〈ビハーラ活動者養成研修会〉

 まず第1回目(5月18日~20日)の主な内容は、ビハーラ活動にかかわる基本教義や理念およびビハーラ活動に必要な基礎知識を学ぶとともに、具体的な実践に役立つ技術を獲得することでありました。

 具体的には、1日目はビハーラ活動(仏教ケアとその活動)、宗門における運動の理解(基幹運動)、真宗教義、仏教福祉と援助技術などの講義があり、夜には参加者が自己紹介後それぞれの思いをぶつけ合うフリートーキングが行われました。2日目は、患者・高齢者・障害者(児)の心理と家族理解、真宗カウンセリング、介護の基礎知識、医療の基礎知識などの講義を受け、夜はレクリエーション実技で楽しく過ごしました。3日目は、今年から初めて会場となった龍谷大学へバスで移動し、基本介護技術とカウンセリング実習をそれぞれ3時間ずつ受けました。

 今回の基本介護技術は、ベットサイドでの実習であり、交互に患者と介助人になりベッド上での寝返りや起きあがりの介助の方法やベッドメイキング、体位交換とシーツ交換の組み合わせ方などを学びました。またカウンセリング実習では、講義で学んだ理論を実践し、お互いがクライエントとカウンセラーとなり「よく聴く(傾聴の段階)」と「正しくいい直す(フィードバックの段階)」とはどのようにすることなのかを具体的に体験しました。

 2回目(6月23日~25日)は、前回の講義や実習で学んだことを、より深く理解するとともに、対象者理解としてのビハーラでの法話の基本と実際の施設における観察学習が新しく加わりました。

 具体的には、1日目は、宗門における運動の理解(基幹運動)、真宗教義、法話、真宗カウンセリングなどの講義とレクリエーション実技、2日目は、医療の基礎知識、介護の基礎知識の講義と基本介護技術およびカウンセリング実習があり、夜は支援の方法実習(オリエンテーション)がありました。そして3日目は5班に分かれ、特別養護老人ホ-ムなどそれぞれの実習施設を訪問し、その実態を観察するとともに、そこで生活されている人たちや職員の対応などから、ビハーラ活動の実践者としての心構えを学ぶとともに実習記録の作成も試みました。

 また今回、基本介護技術としては、嚥下困難のある人への食事介助、片麻痺のある人のベッドから車椅子への移動介助と杖(T字杖歩行)の介助、車椅子の体験学習などがあり、カウンセリング実習においては、カウンセラーとしての話の聞き方や聞くことの意義について、グループ別に検討し、受講者自身も聞くことの大切さを再認識しました。

〈ビハーラ実習について〉

 ビハーラ活動者養成研修会の参加者をみると、ビハーラ活動をしたことのない人と、既にビハーラの会員で現在活躍をされている人の数が約半々でありました。このことを考えると、今回のように第1回基本学習会から介護やカウンセリングの実習が取り入れられたことは大変望ましいことだと考えられます。

 もともとビハーラ活動のように、社会活動として取り組まれるものは、歩きながら考える、すなわち実践しながら学習し、理論を組み立て、その意義を考えていくことが大切だと思います。このような意味においても、今回初めて参加された方々も、出来るだけ早く、それぞれの教区ビハーラにおいて活動を開始されることを期待します。また自分はまずビハーラ活動者養成研修会に参加してから、活動を開始しようと考えておられる多くの方々も、今すぐそれぞれの教区ビハーラの門を叩いて下さい。そして、その後研修会に参加して理論的背景を学ぶとともに、専門家に指導された介護やカウンセリングが出来るようになって下さい。

 因みに、研修会におけるビハーラ実習の目的は、「ビハーラ活動を主体的に実践できる能力を習得する」ことであり、ビハーラ活動10カ年の総括の結果、最も充実しなければならない項目の1つであると考えられています。

 それ故、その実習内容は4期に分けられ、第1期は、各施設を訪問し、そこで生活している人々の状況を観察し、ビハーラ研修生としての実習の心構えを学ぶ観察学習、第2期は、各施設で生活している人々と接し、身体的な介護援助を通し、その人のニーズにいかにこたえられるかを体験する実践学習、第3期は実習生一人ひとりの実習課題に添って、自主的に実習し行動し、自らの実践内容を振り返り考察する実践学習(自主学習)、第4期は、施設の他に在宅における活動のあり方についても学び、介護の専門家の指導のもとに個別事例を選択し、その人への理解を深めるとともに援助の方法を学び、自ら実践内容について評価考察する集約学習となっています。

 このように、系統的に介護のあり方を学ぶことは、単にビハーラ活動のためだけでなく、参加者一人ひとりにとっても 非常に有益なことと考えます。

〈知識・知恵・智慧〉

 私たちが社会活動を始める時、最も必要なことは何でしょうか。ある人は、その活動内容に関する知識だと答えます。確かに何事にも知識は必要です。無から有は生じませんから最少の知識は必要です。しかし知識は、多い人から少ない人への一方通行でしか伝わりません。少ない人から多い人へは知識は伝達されません。

 では、知恵はどうでしょうか。知恵というのは、知識を応用する能力だと考えて下さい。知恵がなければ、多くの知識も生きたものとして活用できません。知恵があれば、少ない知識もうまく活用できます。ビハーラ活動においても、知恵があれば、たとえ最初に知識は少なくても、相手のニーズに応じた対応は可能です。確かに、知識の多い人の方がより活用範囲も広くなると思います。しかし、知恵がなければ、知識は宝の持ちぐされにしかなりません。

 そしてもっと大切なことは、知識は一方通行ですが、知恵があれば誰からでも学べるということです。私たちが子供から学べる(気付く)のも知恵があるからです。ビハーラは、ビハーラ活動の対象者のためだけのものではありません。ビハーラを行う私たちも、そこから得られるものが多いか少ないかは、ビハーラ活動を行う人の知恵の如何によるものです。

 しかし、知恵というのは所詮人間の知恵でしかありません。願わくば、人間を越えたもの(仏)の智慧でもって、ビハーラ活動が出来ればと願っています。

 そうなれば、私たちにも真の意味で、一人ひとりのニーズに合わせたビハーラ活動が出来るようになるのではないでしょうか。

〈ビハーラ活動から〉

 過日、ビハーラ岐阜の小川真理子さんから次のようなコメントをいただきました。

 ビハーラ岐阜の発足当時からずっと活動を継続している病院に、お仏壇をお迎えするための配慮がなされるようになりました。

 活動を通して、また人から人への口伝えにより、他団体からの活動要請が入ってくるようになりました。ビハーラの信用・信頼は、宗門のそれであると決意新たにしています。

 そんな中で、ビハーラも他のボランティアにみられない、独自性や専門性が求められてきていると感じています。

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