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ビハーラの現場活動とネットワーク

浄土真宗本願寺派社会部長 滝口隆誠

はじめに
  一九九八(平成十)年度、ビハーラ実践活動研究会専門委員会、並びにビハーラ問題協議会は、ビハーラ活動の歩みを振り返る総括作業の集約である『ビハーラ活動十カ年総括書』を作成し、本年二月十八日に総局に答申いたしました。本年度は、その「総括書」で明らかにされた課題の一つひとつを、着実に推進していく年度であります。

 その課題の中で、新カリキュラムの採用に関しましては、本年度より第十一期ビハーラ活動者養成研修会において、既に実施されております。また、組織の見直しを行い、本年六月二十九日付けの宗達第七号で、「ビハーラ活動推進委員会設置条例」が発布されました。

 今回は、新たに設置されました「ビハーラ活動推進委員会」について、今後果たすべき役割を中心に、概略をご紹介いたします。
 
一.条例設置の目的
  「ビハーラ活動推進委員会設置条例」の第一条には、「総局部門職制規程第十六条第二号の規定に基づく、ビハーラ活動の推進について必要な事項を協議するため、ビハーラ活動推進委員会を設置する」とあります。この第十六条には、社会部の所掌事項が示されてあり、その第二号には「ビハーラ活動について研究調査、要員の養成および普及実践活動並びにビハーラ活動推進についての各種機関の設置に関すること」と謳われてあり、ビハーラ活動推進委員会は、この条文に基づいて設置されたものです。

 さて、推進委員会では、次の事柄について協議し、ビハーラ活動推進の目的に向かって取り組まれます。

 先ず第一が、教区におけるビハーラ活動の連絡提携に関することです。これは、各教区におけるビハーラ活動が主体的に活動し、その活動のネットワークによって、全国組織を成立させる基本にしようとする考え方によるものです。

 第二が、人材養成のための研修に関することです。これまでに、ビハーラ活動の理念に基づく独自の研修カリキュラムを組み立て、第十期の養成研修までで、既に六百五十名の修了者を輩出してきています。さらに今後は、明年に施行される新たな「介護保険制度」の導入に伴い、社会的にも要請の高まっております二級ヘルパーや三級ヘルパーの資格取得も視野に入れた、幅広い取り組みが期待されています。

  第三は、理念の研究、普及および啓発に関することです。「総括書」にも示しております通り、発足当初の「ビハーラ」の理念や志向、あるいは路線が、過去十カ年の歩みの中で、徐々に変化していきました。このことを踏まえて「ビハーラ活動推進委員会」では、社会のニーズに応え得るビハーラの理念の研究を継続し、あわせてビハーラ活動の普及・啓発を進めるための方途を講じてまいります。

 さらに第四は、活動推進のための運営資金に関することです。活動推進する上には、資金は欠かすことができません。今日までのビハーラ活動者の養成研修や各教区への助成は、全て宗派会計で計上され、取り組みが進められてきました。そこで今後は、独自の資金を持ち得る組織をめざすための研究を進めていこうとするものであります。

 これらのビハーラ活動に極めて重要な課題を総括的に協議する機関が、「ビハーラ活動推進委員会」であります。
 
二.「第一回ビハーラ活動推進委員会」と専門部会の設置について

 本年六月二十九日に発布・施行されました「ビハーラ活動推進委員会設置条例」に基づき、七月十六日に第一回の推進委員会が招集されました。委員会は、設置条例の「組織」に基づき、委員長である不二川総務をはじめ、次に掲げる関係者十五人の委員で構成され、各委員は2カ年の任期で委嘱されています。

 ○宗会議員・・・・・・・・・・・・・・・・四名
  ○ビハーラ活動推進者またはビハーラ会員・・三名
  ○医療または福祉関係者・・・・・・・・・・三名
  ○基幹運動推進役職者・・・・・・・・・・・三名
  ○学識経験者・・・・・・・・・・・・・・・二名

 この第一回推進委員会では、前述の目的遂行のための事項をより具体化するための専門部会を設置することや、ビハーラ活動事業計画、また全国集会の今後のあり方等について協議されました。ここでは特に、専門部会の設置についてご紹介します。

 専門部会としては「養成研修専門部会」「活動ネットワーク専門部会」「企画研究専門部会」の三部会が設置されることとなりました。各部会は、以下の事柄について協議し、次回の推進委員会までに、それぞれ示された課題についての具体的な取り組みを報告することとなります。

 ◇「養成研修専門部会」
1.養成研修会の実施に関すること
2.養成研修会のカリキュラムに関すること
3.コーディネーター養成研修会の実施に関すること
4.コーディネーター研修会のカリキュラムに関すること

 ◇「活動ネットワーク専門部会」
1.教区のビハーラ活動に関する情報収集および発信に関すること
2.教区のビハーラ活動の連絡提携に関すること
3.ビハーラ活動の全国集会に関すること

 ◇「企画研究専門部会」
1.ビハーラ活動の理念整備に関すること
2.ビハーラ活動の教材、啓発リーフレットなどの作成および広報活動に関すること
3.ビハーラ活動の将来展望に関すること
4.医療施設、福祉施設等協力施設との連絡提携に関すること
5.運営資金および基金に関すること

 
三.今後の方向について
  このたび制定されました「ビハーラ活動推進委員会設置条例」は、今日までのビハーラ活動における取り組みの集大成といえます。言い換えれば、試行錯誤を経ながらも着実に積み重ねられた過去十年の活動実績と、これに携わる現場の人びとの情熱が結実した法規ともいえましょう。

 しかし一方では、この条例制定に関して、一部に否定的なご意見のあることも事実です。例えば「法的な措置を講じることによって、教区や組のビハーラ活動の主体性が削がれるのでは」とか、「上意下達の組織になりかねない」などの冷ややかな受け止めもあります。

 確かに、災害時におけるボランティア活動などの場合は、全体に一定の支援を行わなければならない立場の行政による支援活動に対して、一般市民による自発的なボランティア活動は、よりきめ細やかで、柔軟性に富む独自の活動ができるという利点はあります。そうした側面から、法的位置付けに伴う活動の画一化や、組織化による手続き、指示待ち等を懸念する現場の方がたの思いが「ビハーラ活動に法制化はなじまない」との声となっているとも考えられます。

 こうしたご意見を積極的に受け止めるとともに、法制化による宗門内での確固たる位置付けを最大限に活用してゆく方策を講じることが、私たちの大きな課題であろうと思います。このたびの「ネットワーク」という考え方は、それぞれの自発性・主体性に重点をおき、それらを有機的に連携することによってより大きな成果を得ようとするものです。

 従って、「活動ネットワーク」をベースに、組・教区を中心とした現場主導型の組織をめざして、ビハーラ活動のより一層の充実と活性化をはかりたいと考えています。

 最後に、ビハーラに関するさまざまな情報は、活動に携わる全ての方がたにとって、貴重な資料となります。ビハーラについてのご意見やご感想、ご自身の経験や地域の情報など、皆さまの声を本山社会部社会事業担当までお寄せください。

   TEL 075-371-5181(代)内線(252~255)
    FAX 075-371-5217
    Eメール 〈shakai@hongwanji.or.jp〉

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