2023(令和5)年度 事業計画

1.特別養護老人ホームビハーラ本願寺の運営にあたって(野村理事長)

 平成20年開設の特別養護老人ホーム ビハーラ本願寺は、京都府、城陽市をはじめとする近隣地域や宗派関係者のご協力のもと、地域における社会福祉の拠点、宗派ビハーラ活動の研修の場となるよう事業を展開してまいりました。
 しかし、近年、著しく経営状況が悪化しており、理事会議決のもと昨年4月に、設立母体である浄土真宗本願寺派に財的支援を求めました。
 その後、宗派による法人・施設運営にかかる任意の調査を受け、施設運営に当たっては社会福祉法人としての不正な事象があることを詳細に渡り指摘されたことであります。法人として、その指摘事項に対する改善計画を宗派宛提出のうえ、財的支援をいただいたことであります。
 財的支援により長年の懸案事項でありました、屋上防水工事や空調設備修繕の実施、及び施設備品更新として、利用者の全室に見守りシステム付きの介護ベッドに買い替え、また、サポートが終了されていたパソコンもすべて更新することができ、施設の利用者・家族の安心安全、職員の負担を大幅に軽減することができております。
 施設設備が整ったことから、令和5年度も改善計画に則り、目標の稼働率96%以上を達成すること、また福祉医療機構等の借入金返済が始まる令和7年度までに、介護職をはじめとした職員の適正な配置、並びにそれぞれの技術向上をはかり、次回の介護保険法改正時期にあたる令和6年度に向け、体制整備を図ってまいります。
 なお、昨年度は、施設内でクラスターが発生し、多数の利用者・職員が罹患し、施設運営に大きな影響を及ぼしたこと猛省し、今年度は、BCP策定期限年度でもあることから、引き続き、感染に対する警戒を厳としつつ、地域の福祉ニーズに応じたサービスが提供できるよう、役職員一同、一層奮励努力する所存です。
 平成28年度より、事業所職員は、毎日、朝礼時に、法人理念・ケア理念・ケア方針を唱和し、日々の支援において、実践してきました。令和5年度からは、法人理念と「私たちのちかい」を唱和し、事業方針のもとビハーラ本願寺の運営を行ってまいります。

【法人理念】

 み仏の大悲に支えられていることを感謝しながら、人々の悲しみ痛みに共感する慈愛を育んでいきます。

【私たちのちかい】

一、自分の殻に閉じこもることなく
穏やかな顔と優しい言葉を大切にします
微笑み語りかける仏さまのように

一、むさぼり、いかり、おろかさに流されず
しなやかな心と振る舞いを心がけます
心安らかな仏さまのように

一、自分だけを大事にすることなく
人と喜びや悲しみを分かち合います
慈悲に満ちみちた仏さまのように

一、生かされていることに気づき
日々に精一杯つとめます
人びとの救いに尽くす仏さまのように

【事業方針】

 当施設が、浄土真宗のみ教えを基盤とする社会福祉法人として、社会貢献ができるよう重点取組項目を定め、誠心誠意努める。

【重点取組項目】
〇「ビハーラ活動の理念」の具現化
〇利用者支援の質の向上・「いのち」の尊厳を大事にできる研修の実施
〇利用者のニーズに応えるサービスの展開
〇地域との交流を通じて開かれた施設づくりを目指す

2.法人の運営方針

(1)施設経営

当施設は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提供する福祉サービスの質の向上並びに事業経営の透明性の確保を図り、もって地域福祉の推進に努めるものとする。また、地域社会に貢献する取組として、地域の独居高齢者を支援するため、無料又は低額な料金で福祉サービスを積極的に提供するため行う。

①特別養護老人ホーム「ビハーラ本願寺」

1)介護老人福祉施設

2)短期入所生活介護

(2)理事会及び評議員会、監事監査の開催運営

評議員会は、理事等を牽制監督する役割を担い、法人運営の基本ルールや決算の承認などの最終決定を行う議決機関とし開催運営する。
理事会は、議決権の行使等を通じ、法人の業務執行の意思決定に参画するとともに、理事長や他の理事の職務の執行を監督する機関とし開催運営する。
監事は理事の職務執行を監査し、監査報告を作成する機関とし活動する。

(3)資産等の管理及び財産基盤の強化

①基本財産、その他財産、公益事業用財産は、常に良好な状態で使用することができるよう善良な維持管理に努め、法人及び施設の健全な経営を維持するための資金を確保し、財務基盤の強化に努める。

②京都府や城陽市が公示する施設にとって有益となる補助金等を調査及び活用する。

③突発的な施設修繕・備品更新等の対応する経費として、営繕積立金や減価償却資金積立を行う。

(4)医療との連携の強化

①併設する「あそかビハーラ病院」と協働し、利用者の健康管理を充実させる。

②併設する「あそかビハーラ病院」との協働により、「看取り介護」の充実を図る。

③施設の配置医師作成の『診療情報提供書』により、速やかに協力医療機関(協力病院)への受診等に繋げる。

④協力医療機関(協力病院)への入院等治療が必要な場合には、速やかに当該利用者の『介護・看護情報』を提供する。

(5)安定した経営基盤の確立と透明化の推進

①指定介護老人福祉施設及び指定短期入所生活介護(含予防)が社会資源として、利用者に継続的、かつ速やかに提供する。

②介護保険制度(介護報酬等)の見直しに対応したサービスを提供する。

③良質なサービスの提供のために、人材の確保、職員の育成、および定着化を図る。

④法人の会計を含めた事業運営の透明性を担保するとともに、経費の節減を図る。

(6)安全対策及び感染症対策

①法人(施設・事業所)としてBCP(業務継続計画)を策定する。とりわけ、感染症対策及び災害対策を重点的に行う。

②緊急時の対応に備え、防災訓練、救命救急訓練、AED訓練を実施する。

③災害時の備品・非常食の確保および適正管理に努める。

④水害時に備え、近隣企業との連携を強化する。

⑤城陽市防火危険物安全協会との連携を図る。

(7)組織力向上及び職員処遇

①業務遂行に関連して発生する労働災害、及び健康障害を防止するとともに、職員の安全確保と健康の保持増進を図る。

②ストレスチェックを活用し、産業医と連携してストレスの軽減を図る。

③職員定着化のためにストレスの軽減策を構築するとともに、疲弊を防止するために超過勤務を減らす。

(8)地域貢献事業

①城陽市介護事業所連絡協議会に役員として参画する。

②家族会と協力し、ビハーラ秋まつりの開催や地域での行事へ参加する

③共同募金運動の協力推進。

④近隣の保育所や小・中学校、高等学校との交流を深める。・次世代の担い手事業(城陽市立深谷小学校4年生)

⑤城陽市高齢者元気サポーター(介護ボランティア)との連携を深める。

⑥テンプル食堂きょうと事業への協力(敷地内、施設設備の貸出)

⑦ホームページを通して最新の施設情報を公開する。

(9)総局への報告

理事会として、3カ月に一度書面をもってビハーラ本願寺の業務執行現況及び課題等について、浄土真宗本願寺派総局宛に報告する。なお、緊急に報告すべき事案が生じた場合は、適宜速やかに総局に報告する。

3.施設の運営方針

 介護保険制度が利用者に浸透し、施設が利用者に選ばれる時代になって久しい。他法人が経営する介護老人福祉施設・介護老人保健施設・特定入所者生活介護施設、近年、増加しているサービス付き高齢者向け住宅等、利用者獲得のための競争は激化している。当施設は、全国平均の稼働率96%以上を達成するため、地域住民の一員として、地域に密着した施設を目指し、ビハーラ活動に沿って、利用者一人ひとりがその人らしく、安らかで自立した生活を送ることが出来るように支援する。
 また、介護予防短期入所生活介護事業については、軽度者に対して自立支援の観点に立った効果的、効率的なサービス提供のため、次に掲げる事業を行う。

(1)基本事業

①利用者介護・生活支援(食事・排泄・入浴)

1)利用者一人ひとりのニーズ及び心身の状態に合わせて個別ケアを実践する。

2)移乗・移動や入浴、食事等の介助時に事故が発生する危険性(リスク)を理解し、安心・安全・安楽な介助を行うため、介護技術の向上を図る。

3)介護保険制度の趣旨に則り、利用者の意向に沿いつつ、尊厳を保持し有する能力に応じた生活を営むことができるよう、多職種が協働しサービスを提供する。

4)介護サービス、介護予防サービスともに、利用者の日常生活状況を把握し、ケアプランに基づき、利用者の能力を活用し、自立へ向けた支援を行う。

②感染症・事故対策

1)感染症予防を図るために、必要な知識を習得し、実践する。

2)初期対応の重要性を認識し、迅速な対応、処置を行い感染拡大防止に努める。

3)感染症(食中毒を含む)を予防するため、マスクの着用、手洗いやうがい、手指消毒などの衛生管理に努めるとともに、職員及び調理従事者の意識を高めるため衛生知識の普及、啓発を行う。

③環境・設備整備

1)施設設備の点検を行い、補修箇所の早期発見に努め、環境整備を行う。

2)車両の法令点検、定期点検を行い、安全運転に努め安全な運行を実施する。

3)安全な環境を確保することにより、事故予防や労働災害予防に努める。

④人材育成

1)良質な介護サービスの提供のために、人材の確保と職員の育成、および定着化を図る。

2)研修計画を作成し、尊厳と倫理・制度理解・高齢者虐待防止・感染症対策・安全管理体制等の基本研修を実施する。

3)京都府・城陽市および京都府老人福祉施設協議会・京都府社会福祉協議会・京都府社会福祉法人経営者協議会・介護労働安定センター等が開催する外部研修に参加する。

4)城陽市介護事業所連絡協議会を活用して近隣事業所との交流を図りサービスの質の向上を図る。

5)滋賀医科大学の早期体験学習、および早期体験実習の受け入れを再開することにより、医療従事者の高齢者施設に対する理解を深める。

6)職員の資質の向上を図るために(別表1)のとおり施設内職員研修を行う

⑤生活相談・介護相談事業等

1)介護相談員や傾聴ボランティア等の受け入れを積極的に行い、活動の場を広げる。

⑥食事

1)食事提供の時間は、朝食8時、昼食12時、夕食18時を基本とするが、可能な限り、入所者の入所前の在宅での生活リズムを尊重する。利用者の心身の状態等により喫食時間を変更する際は、適切に保管のうえ提供する。

2)季節に応じた食事を提供するとともに、利用者が求める味を追求する。

3)栄養ケア計画を作成し、低栄養状態等の予防・改善のため、計画に沿った食事を提供し、豊かな食生活が送れるよう食事サービス(おやつ、水分補給含む)の充実を図る。

 

(2)年間行事計画表

①令和5年度 年間行事計画(別表2)
 季節が感じられるように四季折々の行事を企画、実施する。

(3)その他

①各種会議

1)入所検討委員会を行政のガイドラインに則り、外部委員2名(地域の民生委員・施設第3者委員)を招聘し、月1回開催する。

2)運営会議を定期的(1回/月)に開催し、報告・連絡・相談を徹底し、主要職員による「情報共有」を図る

3)専門委員会(別紙3)を設置し、情報共有を図るとともに、組織としての方向性を統一する。

②建物整備管理

1)施設設備の劣化に対し、定期的に設備を点検し安全対策を徹底する。

2)環境整備チェックリストを活用して、利用者に快適に暮らしていただける環境を整える。


(別表1)施設内職員研修

内 容

備 考

4月

法人理念(尊厳と倫理)
就業規則

講義と個別レポート研修

5月

福祉職員の心構え
福祉職員に求められる倫理・保冷遵守
リーダー研修

講義と個別レポート研修

6月

中堅層研修

講義と個別レポート研修

7月

利用者の権利擁護と虐待
中堅層研修
リーダー研修

講義と個別レポート研修

8月

中堅層研修

講義と個別レポート研修

9月

個人情報とプライバシーの保護
安全管理研修
リーダー研修

講義と個別レポート研修

10月

中堅層研修
感染症対策実技

講義と個別レポート研修
まち単位での実技

11月

手指衛生
リーダー研修

まち単位での実技
講義と個別レポート研修

12月

中堅層研修

講義と個別レポート研修

1月

コミュニケーションスキル①

講義と個別レポート研修

2月

コミュニケーションスキル②
リーダー研修

講義と個別レポート研修

3月

中堅層研修
利用者の権利擁護と身体拘束・虐待の防止
リーダー研修

講義と個別レポート研修

 

(別表2)年間行事

年中行事

定例行事

4月

花見

花まつり

職員健康診断・腰痛検診・ストレスチェック

【サークル活動】
茶道サークル
(月1回)
書道サークル
(月1回)
【月例行事】
法話会
介護相談員
(月2回)
カフェあんのん
(月2回)
お坊さんカフェ
(月1回)
おもちゃライブラリー
(月1回)
訪問散髪(月2回)
【ボランティア】
傾聴ボランティア
(週1回)
【その他】
避難訓練(年2回以上)

5月

外出レクリエーション
本願寺宗祖降誕会参拝

6月

家族会総会
排泄ケアとオムツ講習会

7月

昼間想定消防総合訓練

8月

物故者追悼法要

9月

敬老祝賀会
風水害想定避難訓練
ビハーラ秋祭り

10月

外出レクリエーション
利用者健康診断
職員健康診断(夜勤職員)

11月

報恩講法要
インフルエンザ予防接種

12月

夜間想定消防検証訓練
年忘れ会
もちつき大会

1月

元旦会
震災想定訓練

2月

節分(豆まき)

3月

ひなまつり
ボランティア感謝のつどい

※新型コロナウィルス感染症のまん延状況により中止・延期および規模縮小をする

 

(別表3)専門委員会

令和5年度

感染症対策委員会
事故防止委員会
安全管理委員会
虐待防止委員会
身体拘束・行動制限に関する委員会
褥瘡対策委員会
看取り委員会
食事委員会
特養入所検討委員会
〇〇実行委員会【必要時に設置】

 

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