1960年代から日本は、情報化社会になったと言われる。今日の通信情報をみるとニューメディア時代、高度情報化社会が実現しつつあるといってよい。
いまや社会の情報受容は即時性と両方向をもってきており、これまでの情報伝達の在り方を大きく変えつつある。
ビハーラの活動者養成研修も、また、その後の活動実施も、その動機に大きく起因することは知られている。「第4回ビハーラ活動全国集会アンケート調査集計報告」をもとに分析をしてみることにする。
上記のように「人のためになる活動をしたい」「宗教者の使命と考えて」「教団がもっと社会活動に取り組むべきと考えて」これらをくくると、宗教的使命感をもった人々が多いと思われる。聞法教団として良好な結果を生みだしているが、「家族や親しい人との死や入院」を個人的危機的動機も多いことは、注目すべきである。 その動機をもった、研修を受けた結果は、「実習」が不足だったと半数の人たちは感じている。そして実践活動に当たった結果、次のとおりとなっている。
ビハーラ研修を受けた人たちの半数近くは、実践によって自己確認して「深く理解できた」としている。
しかし、25%の人たちが、アフターケアについて教団に対して不満としている。このような不満や疑問が、具体的に記録として報告され、答えていくシステムを必要としている。
これまで教団が提供してきた印刷物等の資料・教材は次のようになっている。
名称 | 用途 | 判型 | 頁数 | 頒布 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
ビハーラリーフレット | ベット サイド用 | B6 | 2頁 | × | ビハーラの簡単な内容とメッセージと連絡方法 |
ビハーラパンフレット | 啓発用 | B5 | 1頁 | ○ | ビハーラのアウトラインを示し広く一般的に知らせるもの |
ビハーラノート | 研修用 | B6 変形 |
14頁 | ○ | ビハーラの方向性を知り、活動展開の方法を学ぶ |
ビハーラ通信 | 会員用 | B5 | 8頁 | ○ | ビハーラのニュース、情報交換図書紹介など |
ビハーラ活動 | 購読用 | B6 | 406頁 | ○ | ビハーラ活動について全体的に理解する |
宗報「焦点ビハーラ」 | 寺院用 | B6 |
約130頁 |
○ | ビハーラを活動分野、課題分野などに分け、焦点執筆 |
社会福祉ブックレットシリーズ | 販売用 | B6 | 約40頁 | ○ | 「介護ボランティア」「地域記録」などシリーズ発行 |
社会福祉白書 | 資料用 | B5 | 約240頁 | 限定 | 地域の社会福祉の取り組みやビハーラ海外研修のリポートなど |
ビハーラ現状と課題 | 資料用 | B6 | 約100頁 | 限定 | 「宗報」掲載をまとめて必要に応じて資料参照するもの |
ビハーラ基本学習会講義録 | 資料用 | A5 | 約200頁 | 限定 | 基本学習会における講義をまとめて資料化したもの |
ビハーラ活動提要 | 資料用 | B5 | 約40頁 | 限定 |
各教区のビハーラの情報を提供する形は、どうなっているのだろうか。各教区の報告によると、総会・学習会・例会の機会に情報提供がなされているのが現状である。
機関誌を発行している教区をあげると、次のとおりとなっている。
東 京 | ビハーラ東京(機関誌) | 大 阪 | ビハーラだより |
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長 野 | Fromビハーラ長野 | 奈 良 | ビハーラ奈良(会報) |
富 山 | ビハーラ通信 | 兵 庫 | ビハーラ兵庫(通信) |
高 岡 | やすらぎ(ビハーラ通信) | 大 分 | ビハーラ通信 |
福 井 | ビハーラ福井(会報) | 熊 本 | ビハーラ熊本 |
〈1999(平成11)3.1現在 各教区報告による〉
以上のように教区によって、教区独自の「啓発リーフレット」を作成している所もある。正確な情報を提供して、共通のビハーラ・アイデンティティーをもって、中央も教区も活動現場も、活動を展開する事が望ましい。これまであげた印刷物の中でも機関誌だけで情報提供されていることではない。他教区や専門委員など講師で招いたとき、あるいは中央で行われた集会や会合で情報をえて、伝達することも少なくない。しかし、多くの人に一斉に伝達されるには、機関誌が有効であり、より充実した内容と多くの回数発行を目指していく必要がある。
それでは、情報の蒐集は、どうなっているのだろうか。ビハーラ活動者養成の段階では、記録が課せられ、話し合いや報告を経て、評価も受ける方法が採られてきた。
しかし、より充実した記録を取る目的で、「実践学習記録」と「実践記録」の二通りを作成し配布されたことである。
記録によって、第三者への理解も可能となり、質的向上も生じてくる。さらに養成や研究に役立たせることができるのである。しかしながら、「実践記録様式」による記録化は、始まったばかりで見るべき成果は上がっていない。
今後は、強力に呼びかけ記録を取り、提出することを日常的システムに組んで行われるようにすることが大切である。もちろん、必要な数量統計や内容のある評価助言も欠かすことはできない。
一方、社会発信や外部情報の蒐集はどうであろうか。ビハーラ発足当初は、テレビニュースや新聞報道となって、国民に広く知らされていた。
現在は、地方紙をとおして会員活動の様子や訪問実践活動が取材され、報道されている。
また、ビハーラ活動を日本医師会が関心を示していることもあって。各地域の医師会などに、ビハーラ会員がその活動を紹介している。
また、地方によって、看護教育の中でビハーラ会員を招いて講演による仏教ケアへの関心を高揚されている。
例えば、N会員の出向先記録を見ると、次のようになっている。
これらの出向によって得たビハーラ課題や反響は、貴重な情報の蒐集源である。これらの活動を款単位情報提供する様式をつくり、システム化し、ルートに乗せたいことである。社会の直接の接点であるだけに、慎重に勝つ敏速に対応していく必要がある。