1987(昭和62)年にビハーラ福井、ビハーラ大阪が結成されてより、10年目にあたる1997(平成8)年のビハーラ福岡、ビハーラ備後の開設をもって、全教区がビハーラ拠点をもったことになる。今後、組・寺院などでビハーラが結ばれ、さらには活動現場ごとにビハーラができると、教区組織は連絡協議会に重点が移ることになる。
教区ビハーラは、学習・活動・組織のいずれをみても、細部をみるとそれぞれの教区が大きな違いを見せる。そこで、教区ごとに実践施設(わかる範囲の回数)・会合の種類・関連事項を取りあげてみる。
北海道ビハーラの会 | |
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実践施設 | 1病院(月1回)、10施設(月1回7、月2回2、不定1)、1リハビリ |
会合の種類 | 総会、例会2、公開講演会3、 |
関連事項 | 帯広で「ビハーラ十勝」が発足し、ビハーラ拠点が10カ所 |
ビハーラ東北 | |
会合の種類 | 総会、公開講演会 |
浄土真宗東京ビハーラ | |
実践施設 | 3病院(月1回2、週1回1)3施設(月1回2、週1回1) |
会合の種類 | 総会、専門委員会14、例会5、公開講演会2 |
関連事項 | 電話相談ウイークデー、がん患者語らいの集い、仏教ホスピスの会 |
ビハーラ長野 | |
実践施設 | 1病院、2施設(月2回) |
会合の種類 | 総会2、例会12、公開講演会7 |
関連事項 | 信州大学死を考える会、長野緩和ケア研究会、日本死の臨床研究会 |
上越ビハーラの会 | |
実践施設 | 1病院(月2回) |
会合の種類 | 総会、理事会2、会議4、公開講座4、病院との会合2 |
関連事項 | 会員に医師、保健婦、新聞記者、文学者など |
ビハーラ新潟 | |
実践施設 | 施設2(月1回)、病院1 |
会合の種類 | 総会、協議会、公開講座 |
ビハーラ富山 | |
実践施設 | 病院3、施設14 |
会合の種類 | 学習会5 |
関連事項 | 活動は誕生会、法話会、遠足介助、ショッピング介助、花祭り、七夕、盆踊りなど |
ビハーラ高岡 | |
実践施設 | 施設5 |
会合の種類 | 総会、役員会3、研修4、公開講演会1 |
ビハーラいしかわ | |
実践施設 | 病院1、施設2(月1回)、在宅訪問(月2回) |
会合の種類 | 総会、例会4、公開講演会1 |
ビハーラ福井 | |
実践施設 | 病院2(月2回)、施設2(月2回) |
会合の種類 | 総会、公開講演回、役員会2、協議会1、学習会3 |
ビハーラ岐阜 | |
実践施設 | 病院5(2カ所は月2回)、施設4(1カ所月3回、1カ所月2回)、在宅ケア(月3回) |
会合の種類 | 総会4、例会20、公開講座15、ビハーラ救援活 |
関連事項 | ビハーラ郡上組、ビハーラ飛騨、岐阜県ホスピス運動をすする会、仏医全協、真宗カウンセリンググループパドウマ |
ビハーラ東海 | |
実践施設 | 施設2(月1回) |
会合の種類 | 総会1、例会12、公開講座1、研修会 |
関連事項 | 阪神・淡路大震災仮設住宅在宅訪問 |
ビハーラシガ | |
実践施設 | 病院2(1カ所月8回、1カ所月1回)、施設2(1カ所月5回、1カ所月1回) |
会合の種類 | 総会1、例会6、公開講座4 |
ビハーラ京都 | |
実践施設 | 病院1(月2回) |
会合の種類 | 総会1、例会3、公開講座2 |
ビハーラ奈良 | |
実践施設 | 施設5(1カ所月1回、他に秀1回の入浴介助有) |
会合の種類 | 総会1、役員会5、世話人会2、基幹運動研修会1、講座1 |
関連事項 | 仏教と医療を考える会(BIK) |
ビハーラ大阪 | |
実践施設 | 病院1、施設5(2カ所月1回、2カ所月2回、1カ所ウイークデー) |
関連事項 | ビハーラこのみ園で火・金ビハーラ電話相談、阪神・淡路大震災復興支援の会、カウンセリング研修月1回 |
ビハーラ和歌山 | |
実践施設 | 施設1(月1回) |
会合の種類 | 総会1、例会3、公開講演会1 |
ビハーラ兵庫 | |
実践施設 | 施設3(月1回) |
会合の種類 | 総会2、例会5、公開講演会23 |
ビハーラ山陰 | |
実践施設 | 病院1(月2回)施設2(月3回、月2回) |
会合の種類 | 総会2 |
ビハーラ四国 | |
実践施設 | 病院3(月5回、月4回、月1回)施設4(1カ所8回、3カ所月1回)在宅訪問(月1回) |
会合の種類 | 総会3、例会1、公開講演会1 |
ビハーラ備後 | |
実践施設 | 病院1、施設4 |
会合の種類 | 役員会2、研修協議会5、公開講座1 |
ビハーラ安芸 | |
実践施設 | 病院3(1カ所月2回、2カ所月2回)、施設1(月1回) |
会合の種類 | 総会1、役員会12、連続研修会12、高齢者施設別院参、交流会(2施設)14 |
ビハーラ山口 | |
実践施設 | 病院1(月4回)、施設5(1カ所月2回、4カ所月1回 |
会合の種類 | 総会、役員会2、公開講演会1、推進委員会3 |
関連事項 | 支部を3カ所にもつ |
ビハーラ北豊 | |
会合の種類 | 総会1、例会6、公開講演会1 |
関連事項 | ビハーラ行橋がある |
ビハーラ福岡 | |
実践施設 | 病院1 |
会合の種類 | 総会1、例会10、公開講演会1、協議会9、点字研修会(月5回)、電話相談(月2回) |
ビハーラ大分 | |
実践施設 | 病院1、施設3 |
会合の種類 | 総会1、役員会6、協議会21、講演会1 |
関連事項 | お見舞カード発行 |
ビハーラ佐賀 | |
実践施設 | 病院2、施設7(月2回) |
会合の種類 | 総会、学習会4、世話人会6、会員の集い |
西本願寺ビハーラ長崎 | |
実践施設 | 病院1(月1回)、施設2(年5回) |
会合の種類 | 総会、例会10、公開講演会1 |
ビハーラ熊本 | |
実践施設 | 病院1、施設2(月1回) |
会合の種類 | 総会、役員会6、公開講座2、月例会1、懇話会1 |
関連事項 | 各部会あり |
ビハーラ宮崎 | |
実践施設 | 施設3(月1回)週1ヘルパー |
会合の種類 | 世話人会 |
関連事項 | 宮崎ホスピスの会、宮崎がんを考える会、安楽寺ビハーラの橘デイサービスセンター、在宅ホスピスの会 |
ビハーラ鹿児島 | |
実践施設 | 施設3(2カ所月1回、1カ所隔月1回)相良病院ホスピス病棟宗教ケア活動(月3~4回) |
会合の種類 | 総会、役員会、月例会12、公開講座2、協議会 |
関連事項 | 電話相談室、介護講座(年1~2回開催)「絵だより」活動・相良病院ホスピス懇談会(毎月1回) |
以上、各教区ビハーラの現状を紹介してみた。一人ひとりの会員活動まで紹介できないが、病院、施設への一回一回の訪問で、出会いがあり別れがあり、学びあり、課題ありである。
そのうち、教区で課題になっていることを次に挙げることにする。
北海道 | 予算が足りないため、連続した研修会が開けない。活動範囲が広く把握は困難である。ターミナル・ケアの取り組みが遅れている。現場をつなぐネットワークの構築や、組織活動が望まれる。 |
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東 京 | 寺院がビハーラ活動できるよう組織づくりを考えてゆく。 |
長 野 | 門信徒の少ない地域での施設の開拓をすべき。 |
国 府 | 若年層の実践者の発掘と研修を実施し、組を中心にした活動の拠点づくり。 |
新 潟 | 一部の者の活動という声が大きく、会員数の問題がある。個々の活動を集約した学習を実施しているが、活動に進展がない。 |
富 山 | 公立病院での活動は難しく、在宅ケアの傾きつつある。 |
高 岡 | 僧侶をはじめ門信徒も含めて、社会意識は薄く、社会問題への無関心である。活動を通しての共通問題が見えてこない。ビハーラ活動に対する施設職員の理解が得られていない。 |
石 川 | 学習会の開催の倍増を。 |
福 井 | 施設・病院の望む活動推進を。 |
岐 阜 | 会員数が少なく、施設希望に応えられない。常駐ビハーラ僧的な役割必要。 |
東 海 | スタッフの充実。 |
滋 賀 | 要望に対し会員数が不足している。他団体との連携が課題。 |
奈 良 | 医療関係機関とのかかわりを具体化し、各種ボランティアとの連携。 |
大 阪 | 教区との連携。 |
和歌山 | 医療関係者とのつながりをつくること。教区内にビハーラ活動の 意義と重要性をひろめること。会員の研鑽を深めること。 |
兵 庫 | 病院の活動の場を模索中、活動者の増員をはかること。 |
山 陰 | 会員の発掘、会員の活動現況の把握すること。 |
備 後 | 会員の研鑽を深めること。 |
安 芸 | 会員居住地中心のビハーラ活動の検討。活動人材の養成。別院での帰敬式受式。 |
山 口 | 一部の人の活動にとどまっている。仏婦などの教化団体との関係。 |
北 豊 | 寺院関係の無理解と非協力によって、実践現場をもてない。正会員が減少している。教区での位置づけが不明確。活動予算を委員が負担している。教区専従者が育っていない。 |
福 岡 | 僧侶にどう広げるか、活動拠点をどう広げるか。 |
大 分 | 現段階では自己研鑽と啓発活動が中心。 |
佐 賀 | ホスピス病棟に対応できる人材を外部団体と連携による人材発掘。 |
長 崎 | 居室訪問活動の問題、会員増員の問題。 |
熊 本 | 社会の要請に対応できない。 |
鹿児島 | 情報の交換・広報活動の展開。会員相互の連帯。他団体との連携。 |
ここで、第4回ビハーラ活動全国集会アンケート調査集計報告のうち、教区ビハーラに関係したものを挙げてみると、教区ビハーラ組織の全体運営について、発展的にとらえている人は6割、消極的にとらえている人は4割となる。組織上の教区のかかえる問題点は、次のような実数となっている。
以上の要望課題で目立つのは、社会の要請があるのに応じられる数のビハーラ会員がいないこと、寺院の認識が非常に低いこと、身近な拠点づくりで活動をすることなどが多い事が窺われる。教区ビハーラ協議会で一つひとつの課題解決にむけた取り組みが必要と考える。
教区段階では、教区ビハーラ協議会を見ても、医療関係者及び福祉関係者が数多く参加している。いかにビハーラ活動に期待を寄せているかが、はっきりしている。このことをさらに拡大していくためには、従来の宗派内で通用していた対応でなく、充分社会理解を広く得られる対応をしなくてはならない。
あわせて、ここに「教区ビハーラ代表者会」についてふれておきたい。その「設置要綱」をみると、次のように定められている。
ビハーラ活動を推進していく上において、教区ビハーラ活動の活性化及び各教区間の連絡提携をはかるため、教区ビハーラ代表者会を設置する。
教区ビハーラ代表者会と称し、事務局を社会部内に置く。
教区ビハーラ代表者31名をもって組織する。
各連区代表者5名を幹事とする。
その任期は2会計年度とし、再任可能とする。
本会は年間1回~2回、総局の承認を得て開催する。
(1)教区ビハーラ活動の活性化及び各教区間の連絡提携。
(2)ビハーラ活動全国集会に関すること。
(3)災害、その他事変に対し、被災者等の救援・支援体制確立。
この「教区ビハーラ代表者会」は、情報交換とビハーラ活動支援に際しての連絡提携をはかることが目的である。しかし、今日までの会議では、このレベルをこえた課題・問題がだされてきている。その対処をどこが受けとめていくのか曖昧であり、ビハーラの他の委員会との相互関係もはっきりしていない。
ビハーラが必要に応じてその体制を円滑するために、有効な会議や会合をもつのは当然であるが、そのとき全体体制を踏まえて誰にでも分かるように示してほしいという要望がでている。そのことを明文化して不安なく取り組みできるようにすることも大切である。