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4.ビハーラ活動者の養成・育成の現状 (2)第19期ビハーラ活動者養成研修の調査結果

それでは、その現行カリキュラムを受けた第19期ビハーラ活動養成研修生を対象に「アンケート調査」を実施しましたので、これをもとに様々な事柄を浮き彫りにしたいと思います。
回答者の構成は、僧侶19名、門徒11名、寺族4名(ほか未記入4名)です。

 

 

 

 

 

 

 

 

この養成研修を受けたのはだれからすすめられたのか、寺院の関係者をとおして受けたのか、すでに活動しておられる人からか、興味のあるところです。その結果は、下の通りでした。「ビハーラ活動している人から」が12名と、すすめられた人の中では一番多いです。その他が多かったので、内訳を紹介すると、母から2名、自発的2名、父から、死を前にして、専従職員から、家族から、施設長から、夫から、教務所長から、が各1名ずつという個別な理由でした。

それでは研修動機は、何であったのでしょうか。10年前の調査では、圧倒的に身内の人の死や介護でした。「これから必要な活動と思ったから」が、特に多いのはこれまで見なかった傾向です。この傾向がどのように推移していくか、興味あるところです。この傾向は、ビハーラ活動の目的をいっそう宣布することが大切になることを示しています。
なお、その他は、介護、命令、紹介、わからないことが多かった、といった回答でした。

続いて、「研修カリキュラム」の習熟度あるいは理解度はどのようであったでしょうか。学習実習を終えた直後の問いですから、かなり正確に答えることができたのではないかと思います。それぞれ分野別にしかもその教科名も記してアンケートに答えるという形でした。しかも視覚的に、尺度法(スケール)で記すというものです。

ビハーラ活動の基本的視点に関して

習得できた  2名
やや習得できた  28名 
どちらともいえない  3名      
あまり習得できなかった  2名     
習得できなかった  0名                  
      
○特に習得できた教科名
カウンセリング15名 宗門における運動の理解14名 真宗教義7名
仏教福祉と援助技術5名 生老病死の社会心理4名
○特に習得できなかった教科名
生老病死の社会心理11名 仏教福祉と援助技術8名 真宗教義5名
カウンセリング4名 宗門における運動の理解2名

ビハーラ活動の対象者理解に関して

習得できた  3名
やや習得できた  19名 
どちらともいえない  7名     
あまり習得できなかった  5名     
習得できなかった  3名   

○特に習得できた教科名
カウンセリングの基本的理解15名 患者・高齢者・障害者の心理と家族理解5名
法話の基本5名
○特に習得できた教科名
法話の基本15名 患者・高齢者・障害者の心理と家族理解7名
カウンセリングの基本的理解2名

関連領域の基礎知識に関して

習得できた  2名
やや習得できた  21名
どちらともいえない  8名
あまり習得できなかった  4名
習得できなかった  0名

○特に習得できた教科名
介護の基礎知識11名 医療の基礎知識5名 老人福祉(在宅福祉)5名
医療と保健と福祉の法律4名 障害者福祉の基礎知識4名
ホームヘルプサービスの基礎知識4名
○特に習得できた教科名
医療の基礎知識8名 医療と保健と福祉の法律6名 障害者福祉の基礎知識6名
ホームヘルプサービスの基礎知識4名 老人福祉(在宅福祉)の基礎知識3名
介護の基礎知識2名

〈ビハーラ活動の実技と演習の分野〉

習得できた  3名
やや習得できた  11名
どちらともいえない  7名
あまり習得できなかった  9名
習得できなかった  0名

○特に習得できた教科名
ビハーラ活動の理解と実践13名 実習オリエンテーション8名
レクリエーション実技7名 カウンセリング実習6名 基本介護技術3名
○特に習得できた教科名
基本介護技術21名 カウンセリング実習19名 ビハーラ活動の理解と実践5名
レクリエーション実技5名 実習オリエンテーション1名

研修カリキュラムに対しその達成度や習熟度などを調査しましたが、「とくに習得した」内容について2・3教科をあげている人も2名ないし4名おり、4・5教科あげている人も1名または2名いて、きわめて個性的なことがらでありました。しかし、この習熟度や達成度はあくまで自己評価であり、これが他者評価や第三者評価の場合とはちがって高くなることは明らかです。
それでは、この「ビハーラ活動者養成研修」を受けて当初の目的を達成したと思っているかについて、「あなたはこの研修で自分の研修に期待した目的を達成したと思いますか」と、設問しました。
その結果、「ほぼ達成したと思う」18名でしたが、「どちらともいえない」17名と多かったことが目立ちます。特定教科にははっきりした結論を示すことができますが、研修全体の目的達成は評価しにくいということでしょう。

第19期のビハーラ活動者養成研修を受けた人たちは、まず何から始めようとしているのでしょうか。また、どのような活動に取り組もうとしているのでしょうか。2項目を選んだ人が10名、3項目選んだ人が2名ありました。右の表でわかるように、「教区のビハーラ活動に加わる」28名、「福祉施設・病院の実践活動場所をさがす」11名などです。この実践活動場所をさがしている人たちを教区ビハーラが協力しあって支援することが大切なことになります。下表の「活動」との表示は「ともに活動する人を募る」という意味です。「その他」をあげた人の中には、「活動を継続する」「今いる施設で実践する」「今の職業で活かす」といったもので、ほとんどすでにその職場にいるとか、すでにビハーラ活動をしている人です。
この人たちは「どのような活動に取り組む」姿勢をもっているのでしょうか。特に、いくつもの選択をする人がきわめて多く、意欲をくみ取ることができます。
2択12名、3択5名、4択4名、5択から9択までの人が各1名ずつありました。
第19期を受けた人たちは、これからの実践で取り組みたいこととして、相談相手・法話・居室訪問・レクリエーション・行事手伝い等を挙げています。
研修を終えて今感じていることは何でしようか。全体的に「得るものがあった」「何をすべきかわかった」「なぜビハーラなのかが見えてきた」「ビハーラ活動はほんとうに必要だと思った」「私にでもできることがある」「自分のできるところから始めたい」「問題意識が強くなった」「研修で実践のヒントを得た」と、研修成果を語る人が多くありました。しかし、「積極性のない人間には厳しい」という一感想もありました。

研修を終えたいま、今後さらに研修を受けたいという希望も多くあります。「学びの継続をしたい」「修了者に活動専門分野の研修を望む」「より詳細な研修とトレーニングをしてほしい」「実践段階に分けた取り組み方法を学びたい」「習得できない部分の再度講義をしてほしい」などの感想から伺えます。これは中央で考え、また教区で考え、さらに企画し研修していくことが欠かせません。
研修中には、「講義に納得」とか「先生方の熱い実践への思いに感動した」という感想もありました。「いままでの配慮不足」に気づき、「もっと多くの人が受けてほしい」と望む声もありました。「傾聴を実践で深めたい」という感想のように、これからビハーラ現場で活動する人ばかりですから、熱い思いが冷めることのないようにまわりが支援しながら、ともに活動を進めたいことです。まだ「新カリキュラム」による成否は、経過年数も少なく、またアンケートによる調査数も少ない中で、早急に出せる状況にはありません。
各教区ビハーラで、新しい活動者たちに対するアフターケアの研修に近い内容をもっているところがあるでしょうか。強いて取り上げれば、ビハーラ奈良の「ビハーラルーム学習会」(年間8回)、ビハーラ安芸の「いのちを見つめる研修会」(年間10回)、ビハーラ福岡の「ビハーラ活動研修会」(年間10回)と「寺院におけるグリーフケア」(年間12回)などあります。しかし、多くの教区が広範囲であること、実践活動に追われているので、研修の充実ができないという実態があります。

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