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5.中央のビハーラの取り組み (4)全国集会の経緯と今後

教区ビハーラが結成されたとき、「活動情報の交換と会員交流をしたい」との要望が出てきました。ビハーラ福井とビハーラ大阪の交流が始まり、福井の国立北潟病院で最初の交流会が持たれました。
そして1994(平成6)年2月に「第1回ビハーラ活動全国集会」が開催される運びになったわけです。
ここでおよそ、その全国集会の概要を一覧することにします。
ビハーラ活動全国集会 開催一覧

期日 開催地 テーマ 講師 分科会

第1回

1994(平成6)年
2月5日(土)

本山

目的:他教区の会員・組織との交流を深め、実状を学び、自らの活動に資するとともに今後の活動をより一層の充実を図る  ことを目的とする

基調講演

星野一正

京都大学名誉教授・医学博士

①組織運営に対するビハーラ活動
②老人に対するビハーラ活動
③患者に対するビハーラ活動

第2回

1995(平成7)年
2月4日(土)
~5日(日)

東京

がん患者と家族に聞く生と死
ビハーラとは何か

基調講演

種村健二朗

国立がんセンター医師

①ビハーラの理念
②ビハーラの実践
③ビハーラ・リビング・ウィル④安心して死ねる場所

第3回

1996(平成8)年
2月3日(土)
~4日(日)

本山

阪神・淡路大震災こころのケアとビハーラ活動

特別講演

豊原大成

浄土真宗本願寺派総務

①いのち・・聞かせて 医療の現場で
②いのち・・聞かせて 福祉の現場
③いのち・・聞かせて 救援活動の現場で

基調講演

川上範夫

奈良女子大文学部教授

第4回

1997(平成9)年
2月4日(土)
~5日(日)

安芸

『ビハーラ昨日
・今日・明日』

記念講演

早川一光氏

総合人間研究所所長

ビハーラ昨日今日明日を統一テーマに分科会を各会場にて行い、これまでの活動を振り返り、 これからのビハーラ活動を考える

第5回
※蓮如上人500回遠忌法要

1998(平成10)年
9月26日(土)
~27日(日)

本山

『いのちの讃歌-平等性を問う-』

記念講演

宮崎幸枝

宮崎病院
副院長

①電話相談      ⑤障害者ケア
②在宅ケア      ⑥臓器移植
③終末期ケア    ⑦法話活動
④高齢者ケア

第6回

1999(平成11)年
7月20日(祝)
~21日(水)

長野

《生老病死と
ともに》

記念講演

松倉悦郎

フジテレビ
アナウンサー

①ビハーラとは
②障害者とともに
③家族のケア
④生命倫理
⑤カウンセリング
⑥ビハーラとボランティア
⑦医療・福祉制度
⑧福祉制度のはざま
⑨ビハーラとホスピス
⑩ターミナルケア
⑪法話
⑫臓器移植
⑬生き方・死に方

第7回

2000(平成)12年
11月26日(日)
~27日(月)

本山

いのち・共生・実践
~21世紀に向かってのビハーラ~

特別講演

廖仁

台湾:仁愛総合医院院長
「台湾における921大震災と心のケア活動」

①ビハーラ病棟の現状
②生命倫理
③現代仏教にみる看取り
④活動者のあり方を求めて
⑤カウンセリング 実践を通して
⑥ビハーラ活動での法話
⑦介護保険と人権
⑧在宅での看取り
⑨脳死と臓器移植
⑩寺院機能とビハーラ活動
⑪災害とビハーラ活動

記念講演

杉本誠

日本キリスト教団西尾教会牧師
「カルトに惹かれる青年たち」

第8回

2001(平成13)年
9月29日(土)
~30日(日)

岐阜

いのち・だれのもんやな?
-願われたいのち-

基調講演

山折哲雄

国際日本文化研究センター所長
「共に生きるものもやがて共に死ぬ」

「トークサロン」
①「障害」って、いったい何?
②「青少年」のこころとビハーラ
③NPOを考える
④高齢・少子化に問う
⑤終末期ケアとグリーフ・ワーク
⑥〝いのち〟とはその1
⑦〝いのち〟とはその2
⑧民族差別

第9回

2002(平成14)年
9月7日(土)
~8日(日)

本山

ひろがれビハーラの輪
―新しいコミュニティづくり―

記念講演

種村健二朗

栃木県立がんセンター主幹

「ビハーラケアとは-終末期看護で学ぶもの」

①ホスピス病棟でのボランティア
②知的障害者施設とビハーラ活動
③私にできるビハーラ活動
―寺院にできるデイサービス―
④門信徒と共にあるビハーラ活動
⑤ハンセン病問題
⑥お寺での子育てひろば
(若い母と子ども)
⑦ビハーラ病棟に学ぶ
⑧市民と共に歩むビハーラ活動
⑨親子じゃないけど家族です
⑩ビハーラ活動の実際
⑪県立病院でのビハーラ活動
⑫ビハーラケアとは
-終末期看護で学ぶもの-

第10回

2003(平成15)年
8月30日(土)
~31日(日)

福井

何のため生きるのかな?
-つながってるいのち-

シンポジウム

鍋島直樹
(コーディネーター)
各連区代表者
(パネリスト)

「ビハーラ活動を活性化するには」

「トークサロン」
①福祉・医療と宗教をつなぐ
②いのちといのちをつなぐ
③おもいやりとおもいやりをつなぐ
④ひととひとをつなぐ
⑤こころとこころをつなぐ
⑥なかまとなかまをつなぐ
⑦おもいとおもいをつなぐ
⑧かんけいとかんけいをつなぐ

記念講演

永 六輔

作家
[カイゴハ楽しく、闘病も楽しく]

第11回

2004(平成16)年10月2日(土)~3日(日)

本山

ビハーラ・その求めるもの求められるもの

記念講演

鎌田 實

諏訪中央病院
管理者

[がんばらない]けど[あきらめない]
-命を支えるということ-

①がん患者・家族語らいの集い
②ハンセン病から見えてくるもの
③ビハーラってなあに?
④在宅での看取り
⑤仏教と生命倫理
⑥グループホームでのビハーラ活動
⑦青少年問題の解決と予防のための試案
⑧ビハーラ活動に求められるもの
⑨カウンセリング
⑩真宗の教えとビハーラ活動
⑪フリートーク

第12回

2005(平成17)年
6月18日(土)
~19日(日)

熊本

「いのちによりそう」
-地域に根ざした
ビハーラ活動-

記念講演

田代俊孝

同朋大学院教授
ビハーラ医療団世話人
「死そして生を考える」

①ビハーラってなあに?
-ビハーラ活動入門講座
②仏教の生命観
-ビハーラの原点を探る-
③グリーフケア
-遺族の悲しみに寄り添って-
④心を聴くボランティア養成講座
⑤院内ボランティアとビハーラ
⑥私にできること
-松岡病院での活動を通して-
⑦緩和ケア病棟の現場から
-私の実践活動-
⑧地域(寺)におけるビハーラ活動の可能性
⑨ハンセン病問題とビハーラ
⑩人権コンサート
-聴き・語り・共に考えよう"いのち"

第13回

2009(平成21)
1月31日(土)
~2月1日(日)

本山

悲しみによりそう
-地域とともにあゆむビハーラ活動-

記念講演

小西達也

東札幌病院
チャプレン

「死の臨床における心のケアとチャプレン」

【さまざまな悲しみに寄り添う】
①自死とビハーラ
②子どもを亡くす悲しみ
③がん患者家族とビハーラ
【お寺のビハーラ】
④葬儀・法事とビハーラ
⑤寺院活動と遺族ケア
お寺で悲しみの語らいの会を
【医療・福祉施設とビハーラ】
⑥在宅での看取り
⑦施設間交流
⑧医療とビハーラ
【これからのビハーラ】
⑨フリートーク
⑩事例発表(一般公募)
⑪ビハーラ活動の点検と課題

「第13回ビハーラ活動全国集会」が2009(平成21)年1月31日・2月1日に本願寺を会場に開催されました。この参加者に対し、今後の全国集会をどのようにしていくべきかアンケート調査しました。回答者は次の通りでした。
■年令別
 66歳以上 65名 
 52歳以上―65歳 52名 
 31歳以上―51歳 22名 
  30歳以下  8名

■男女別
 男性 73名 
 女性 113名 
 不明  3名

■門僧区分 
 僧侶 45名 
 寺族  33名 
 門徒 67名 
 その他 11名 
 記載なし3名

参加者は、ビハーラ活動を「大体理解している」115名、「少しは知っている」31名、「知らない」4名であることからビハーラ活動に関与している方が参加した集会といえるでしょう。
全国集会に「毎回参加している」人は44名、「過去に参加したことがある」53名、「初めて参加した」54名でほぼ三分されている結果が見られます。「初めて参加した」のは、養成研修会を終えて直後の参加が多いということでしょう。それでは、どのように知って参加しているのでしょうか。「教区ビハーラに所属して」91名、「教区教務所」24名、「教区ビハーラ代表者の紹介」12名、「友人知人の紹介」11名で、ほぼ教区ビハーラや教区教務所など組織的伝達をとおして知った人が多いということが判ります。「本願寺新報で知ったから」は3名、「ポスターなどで知ったから」が3名で少数でした。
全国集会の参加目的は、大半の方は「情報交換・研讃」で、ついで「活動を知りたい」でした。「交流・親睦」も4分の1あることが分かりました。

それでは、この全国集会に参加した人たちは、「分科会」ではどのように分散したかを見ましょう。

分科会

分科会テーマ

人数

1

自死とビハーラ

33

2

子どもを亡くす悲しみ

14

3

がん患者家族とビハーラ

46

4

葬儀法事とビハーラ

66

5

寺院活動と遺族ケア

29

6

在宅での看取り

33

7

施設間交流

18

8

医療とビハーラ

17

9

フリートーク

17

10

事例発表(公募)

20

11

ビハーラ活動の点検と課題

18

「葬儀法事とビハーラ」の参加者が最も多かったのは、この集会参加者に僧侶寺族の参加者が多かったことによると思われます。
この「全国集会」で興味をもったプログラムは、下図のようでした。

「記念講演」に対する感想を聞きますと「有意義で大変参考になりました」65%「専門的すぎて、難解だった」35%ですが、それぞれの記述内容は極めて個別的でした。
今後の全国集会の開催については、

1.隔年開催を望む    68名
2.毎年開催を望む    54名
3.3年に一度開催を望む  14名
4.4年に一度開催を望む   1名
5.その他         2名

といった記入でした。
これからの全国集会での「望むプログラム」を複数記入で求めた結果、次の通りでした。

①講演99名 ②活動報告41名 ③事例発表40名 ⑤交流会23名 ⑥意見発表21名 ⑥パネルデスカッション21名 ⑧親睦20名 ⑧研究発表20名⑩シンポジュウム19名 ⑪展示発表1名 ⑪その他1名

このように「第13回ビハーラ活動全国集会」参加者の意向を受け止めて、今後の集会が企画されるときに対応されることが望まれています。

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