ビハーラ活動を宗門内に周知するために1988(昭和63)年から長期にわたって「宗報」に掲載されてきました。その記事は、ビハーラ活動の取り組みの現状から、ケアの現場で当惑している報告、さらに当惑している問題まで様々なテーマでした。近年は、ときおり教区ビハーラや仏教婦人会のビハーラの現場がトピック的に「本願寺新報」に掲載され、現在の話題としてビハーラ総合施設の記事掲載が多くなっています。
ビハーラ活動実践者養成という目的で養成された人たちは、その後ビハーラ現場でその目的に向かって活動しているでしょうか。また、活動に加わったものの、残念ながら中途で挫折したり、高齢になり活動参加がしにくくなってはいないでしょうか。
それでは、ビハーラ活動をしていて実践の現場で、どんなことに困るのでしょうか。
「ビハーラ活動への理解」が、「理解がない」「理解してもらえない」といったことですが、病院の代表者だけでなく、働いている多くの方に理解していただく機会が活動当初に必要なことだと考えられます。そのことによって、「施設側・病院側との意思疎通」や「介護士・看護師の理解」とも深くかかわって、困ることの解決の一歩になるのではないでしょうか。
「施設側との意思疎通」「病院側との意思疎通」は、話し合いの機会を設けることが先決で、そこで解決策を見出したいことです。「介護士の理解」「看護師の理解」も同じことで、「困りごと」を抱え込まないで話し合うところに道は開けることです。
「患者に対する対応」「カウンセリングの進め方」は、さらに学びを進めていくことで解決されるものか、また対応や進め方の成功している人に教示願ったり、時には経験豊富な人を招いて学習する機会をもつことも有効ではないでしょうか。
(2009年1月「第13回ビハーラ活動者全国集会」調査結果)
このように困ったことが起こったときに、ビハーラ会員はだれと相談しているでしょうか。
①ビハーラ会員 48名 ②教区ビハーラ役員 21名 ③施設関係者 21名 ④住職 20名 ⑤友人16名 ⑥病院関係者 6名 ⑦医師 5名 ⑧養成研修講師3名 ⑨介護士 3名 ⑩看護師 2名 ⑩その他3名
以上のことから、会員どうしで相談したり、相談にのったりしていることがきわだって多いことが分かりました。ただし、相談しない、相談できないという人が5名ありました。
ビハーラの会合で、相談しやすい環境・雰囲気作りが欠かせないことになります。
実践現場で「困ったこと」を15名の方が記入されていました。「手伝いのボランティアのように施設に利用されている」「活動の費用が自己負担となる」「新しい病院へかかわりをもちたいと思うが、“宗教”がジャマをする」「法務多忙の折は気持ちが向かない」「医療・福祉の現場のみがビハーラ活動の現場ではない」「居宅訪問が許されない」「積極的に働きかけない無反応な寺院」といった様々な記載でした。
次に、アンケートに対する教区の回答書から、問題点、反省点を挙げてみます。